フレイルとは?
フレイルは、虚弱を意味する英語「frailty」を語源としてつくられた医療用語で、高齢者に多く見られる心身の虚弱な状態を指します。
この状態は、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、早期に対応することで健常な状態に戻る可能性があります。
フレイルの定義と特徴
フレイルは、加齢による身体的、精神的、社会的な機能の低下を指します。具体的には、以下のような特徴があります。
- 身体的フレイル:筋力の低下、体重の減少、活動量の減少など。
- 精神的フレイル:うつ状態や認知機能の低下。
- 社会的フレイル:社会的孤立やサポートネットワークの減少
フレイルの原因
フレイルの主な原因は加齢ですが、慢性疾患(糖尿病、高血圧、心疾患など)や生活習慣(運動不足、栄養不良など)も影響を与えます。
これらの要因が複合的に絡み合い、心身の脆弱性を増加させます 。
フレイルの予防と改善方法
- 適度な運動:筋力トレーニングや有酸素運動を定期的に行うことで、筋力の維持と向上が期待できます。
- 栄養バランスの取れた食事:たんぱく質やビタミンを豊富に含む食事を摂ることで、身体機能の維持を助けます。
- 社会参加:ボランティア活動や趣味を通じて社会とのつながりを持つことが、精神的・社会的なフレイルを防ぎます。
- 定期的な健康チェック:早期発見・早期対応のために定期的に健康診断を受けることが重要です 。
フレイルと栄養
栄養バランスの取れた食事を摂ることは誰しも健康につながります。
ついつい特定の食品に偏りがちになりますが、多様な食品から栄養を取り入れることを意識したいものです。
高齢者においてフレイルを予防・改善するために特に意識したい代表的な栄養素として、ビタミンD、たんぱく質に含まれる分岐鎖アミノ酸(BCAA)が挙げられます。
ビタミンD
ビタミンDにはフレイルに密接に関わる2つの働きがあります。まず1つ目は、骨の量と質を上げることで骨を強くする働きです。
これにより骨が弱いことによる骨折(骨粗しょう症など)を防ぎます。
2つ目が、筋肉の低下を防ぐ働きです。これにより高齢者に多い転倒を防ぎ、ひいては転倒による骨折を防ぐことになります。
分岐鎖アミノ酸(BCAA)
人間の体を構成するタンパク質は、20種類のアミノ酸から構成されています。
自然界には約500種類のアミノ酸が存在しますが、人間の体はわずか20種類のアミノ酸でできているため、とても少ないと言えます。
その中でも分岐鎖アミノ酸は体内でつくり出すことができない、食事からの摂取が必要なアミノ酸であり、筋肉を作るために必要な栄養素です。
具体的には、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸のことを指し、BCAA(ビーシーエーエー)とも呼ばれています。
中でも「ロイシン」には筋タンパクの合成を促進する働きがあると言われています。
具体的な介入方法
フレイルの進行を防ぐためには、早期の介入が効果的です。
リハビリテーションや適切な生活習慣の改善を通じて、心身の機能低下を防ぎます。
また、医療機関と連携して、必要に応じて画像検査や血液検査を行い、隠れた病気を早期に発見することも重要です 。
まとめ
フレイルは、高齢者に多く見られる心身の虚弱な状態であり、適切な対策を講じることで、健康な状態を維持することが可能です。
運動、栄養、社会参加の3つの柱を中心に、早期発見と予防を心がけましょう。
医師、医学博士、栄養療法ドクター
2002年 金沢医科大学卒業 同年、医師免許取得
2008年 博士号取得 同年、金沢医科大学助教
その後整形外科専門医、整形外科リウマチ専門医取得
2009年 公立宇出津総合病院整形外科医長、
リハビリテーション科医長
2013年 神奈川県内の病院に勤務
2017年 回復期リハビリテーション専従医取得
2021年 株式会社メフィス設立
2022年3月 病院勤務を辞め独立