サルコペニアとは?
サルコペニア(Sarcopenia)は、主に加齢による筋肉量の減少と、それに伴う筋力低下および身体機能の低下を指します。
ギリシャ語の「sarx(筋肉)」と「penia(減少)」を組み合わせた言葉です。
サルコペニアの原因
人の筋肉量は40歳を境にして徐々に減少していく傾向があり、60歳を超えるとその減少率は加速します。
サルコペニアは、タンパク質の摂取不足と運動量の減少によって、作られる筋肉よりも分解される筋肉の方が多くなることが原因で、主に2つに分類されます。
- 一次性サルコペニア:加齢に伴うもの。
- 二次性サルコペニア:活動不足、栄養不足、慢性疾患(例えば、心疾患、糖尿病、がんなど)によるもの。
サルコペニアの診断基準
サルコペニアの診断には以下の基準が用いられます。
- 筋肉量測定:生体電気インピーダンス法(BIA法)や二重エネルギーX線吸収法(DXA法)を用いて測定します。
- 握力測定:男性28kg未満、女性18kg未満
- 歩行速度測定:1秒あたり0.8m未満
これらの基準に基づき、筋肉量の低下が確認され、筋力または身体機能のいずれかが低下している場合、サルコペニアと診断されます。
サルコペニアの症状と影響
サルコペニアが進行すると、以下のような症状が現れます。
- 筋力低下による日常生活動作の困難(立ち上がり、歩行など)
- 転倒や骨折のリスク増加
- 身体機能障害や生活の質(QOL)の低下
サルコペニアの予防と対策
- 適切な栄養摂取:
- 高タンパク質の食事を心がける。
- ビタミンDやオメガ3脂肪酸などのサプリメントの活用。
- 定期的な運動:
- 筋力トレーニング(ハーフスクワット、アームレッグクロスレイズ、プッシュアップなど)
- 有酸素運動(ウォーキング、ジョギングなど)を週に150分以上行う。
- 早期発見と早期介入:
- 定期的な健康診断と筋肉量・筋力のチェック。
- 早期に症状を発見し、医療機関で適切な治療を受ける
サルコペニアと栄養
タンパク質(必須アミノ酸、分岐鎖アミノ酸)
タンパク質を構成するアミノ酸の中でも分岐鎖アミノ酸(BCAA)は筋肉を作るために必要な栄養素です。
具体的には、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸のことを指します。
中でも「ロイシン」には筋タンパクの合成を促進する働きがあると言われています。
BCAAやロイシンを摂取すると、体に筋肉を合成するようにとのシグナルが送られます。
このシグナルに反応して、人間の体は筋肉を合成しようとします。その際に重要なのが筋肉を構成するアミノ酸である必須アミノ酸です。
せっかく体が筋肉を合成しようとしても筋肉の材料となる必須アミノ酸がなければ筋肉合成は効率的に進まないのです。
サルコペニア対策には、食事の際にはただ単にカロリーを摂取するのではなく、ロイシンや必須アミノ酸が多く含まれる食事を取ることが重要と言えるでしょう。
まとめ
サルコペニアは高齢者に多く見られる筋肉量減少および筋力低下の状態であり、適切な予防と対策が重要です。
栄養、運動、早期発見の3つの柱を中心に、生活習慣の改善を図りましょう。
医師、医学博士、栄養療法ドクター
2002年 金沢医科大学卒業 同年、医師免許取得
2008年 博士号取得 同年、金沢医科大学助教
その後整形外科専門医、整形外科リウマチ専門医取得
2009年 公立宇出津総合病院整形外科医長、
リハビリテーション科医長
2013年 神奈川県内の病院に勤務
2017年 回復期リハビリテーション専従医取得
2021年 株式会社メフィス設立
2022年3月 病院勤務を辞め独立