-FAQ-
主人についての相談です。
痩せ型で、筋トレしても筋肉がつきにくく、軟便と逆流性食道炎があり、SIBOの検査を受ける予定です。
年に数回、夕方になると低血糖のような症状が出て、クラクラして気持ち悪くなり、お菓子やチョコを食べると落ち着きます。
痩せ型で空腹時にクラクラすることが多く、何が原因なのでしょうか?
また、対策はありますか?
ご主人のように筋肉がつきにくく、低血糖になりやすい方は、体内のエネルギーの供給バランスに問題がある可能性があります。
特に、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンが少ないと、血糖値を維持するのが難しくなり、低血糖を引き起こしやすくなります。
以下、血糖コントロールと糖新生についての解説です。
血糖コントロールの流れ
- 食後
血糖値が上がると、インスリンが分泌され、余分なグルコースがグリコーゲンとして肝臓と筋肉に蓄えられます。 - 空腹時や運動時
血糖値が低下すると、肝臓はグリコーゲンを分解してグルコースを血中に放出し、血糖値を維持します。
筋肉もグリコーゲンを分解してエネルギーを得ますが、筋肉内でしか使えません。
筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンは、血糖コントロールにおいて重要な役割を果たします。
グリコーゲンは、体内でグルコース(ブドウ糖)が余ったときに蓄えられるエネルギーの貯蔵形態です。
肝臓のグリコーゲンの役割
肝臓に蓄えられたグリコーゲンは、血糖値を直接コントロールするために使われます。血糖値が低下すると、肝臓はグリコーゲンを分解してグルコースを生成し、これを血液中に放出します。
これにより、血糖値を正常範囲に保つことができます。
特に、食事をしていないときや睡眠中に血糖値が下がりそうなとき、肝臓はこの機能を発揮します。
筋肉のグリコーゲンの役割
一方、筋肉に蓄えられたグリコーゲンは、主に筋肉自体のエネルギー源として使われます。筋肉は直接血液中にグルコースを放出することができませんが、運動や活動に必要なエネルギーとしてグリコーゲンを分解し、グルコースを生成して利用します。
これは、筋肉が活発に動いているとき、特に運動中に重要な役割を果たします。
ということで、肝臓に脂肪が蓄積している方や筋肉量の少ない方は、グリコーゲン貯蔵量が少なく、血糖が低下した時に、糖新生で、ご自身で血糖値をバックアップすることが苦手です。
血糖値が低下した時に、ご自身で糖を作り出すことが弱いと、低血糖になりやすくなります。
その際は、交感神経の緊張でアドレナリンなどの放出で、筋肉を分解しながら血糖を維持することになります。
糖新生について
糖新生は、体がグルコース(ブドウ糖)を作り出すプロセスです。特に、食事で十分な炭水化物を摂取していないときや、血糖値が低下したときに行われます。
このとき、体内でグルコースを生成するのに使われるのが、アミノ酸や乳酸などの物質です。
『アラニン回路」と『コリの回路』は糖新生の重要な部分です。
このアラニン回路で補酵素として活躍するのがビタミンB6
コリの回路では、ナイアシンが補酵素ととして働きます。
ですから、血糖コントロールにおいてもビタミンB群が重要ですね。
アラニン回路
アラニンは、筋肉で分解されたアミノ酸の一種です。筋肉がエネルギーを必要とすると、アミノ酸が分解され、アラニンが生成されます。
このアラニンは血液を通じて肝臓に運ばれ、そこでアラニンからグルコースが作り出されます。
これがアラニン回路です。
生成されたグルコースは血液に戻り、エネルギーとして筋肉や他の組織に供給されます。
コリの回路
筋肉が激しい運動をしているとき、酸素が不足し、乳酸が生成されます。この乳酸は血液を通じて肝臓に運ばれ、そこでグルコースに変換されます。
これがコリの回路です。
コリの回路も、エネルギー供給が急務なときに重要な役割を果たします。
このように、糖新生は主に肝臓で行われ、アラニンや乳酸を利用してグルコースを生成し、エネルギー源として体全体に供給します。
筋肉が少なく、低血糖を起こしやすい方では、『糖新生』がうまく機能していない可能性があります。
糖新生がうまくいかない原因として、いくつかの要素が考えられます。
- 筋肉量とアミノ酸供給の不足
糖新生には、筋肉で分解されるアミノ酸(特にアラニン)が重要な役割を果たします。
筋肉が少ないと、糖新生に必要なアミノ酸の供給が不足しやすくなり、肝臓で十分なグルコースを生成できない場合があります。
このため、エネルギー不足から低血糖が起こりやすくなる可能性があります。 - グリコーゲンの蓄えが少ない
筋肉量が少ないと、筋肉に蓄えられるグリコーゲンの量も少なくなります。
通常、運動時やエネルギーが不足した際に、筋肉のグリコーゲンが使われますが、筋肉量が少ない場合、このエネルギー源が限られます。
その結果、体が速やかに他のエネルギー源(脂肪やアミノ酸)を使わざるを得なくなり、糖新生に依存する機会が増えます。
しかし、アミノ酸の供給不足で糖新生がスムーズに行えないと、低血糖になりやすくなります。 - 糖新生を助けるホルモンや酵素の機能低下
糖新生を促進するためには、グルカゴンやコルチゾールといったホルモンが重要です。
また、肝臓で糖新生を行うためには、適切な酵素が必要です。
筋肉が少なく低血糖が頻繁に起こる場合、これらのホルモンや酵素の働きが低下している可能性も考えられます。 - 脂肪や他の代替エネルギー源の利用障害
糖新生は、長時間の空腹時やグリコーゲンが枯渇したときに重要な役割を果たしますが、脂肪からのエネルギー利用(ケトン体の生成)もまた、エネルギー供給の代替経路として働きます。
脂肪利用の効率が低い場合、体が糖新生に過度に依存し、アミノ酸不足から低血糖が生じやすくなります。
まとめ
筋肉が少なく低血糖を起こしやすい方は、糖新生が十分に機能していない可能性があります。特に、筋肉量が少ないために糖新生の材料であるアミノ酸が不足していることが、低血糖の原因の一つと考えられます。