-FAQ-
40代女性です。
健康診断で、総コレステロール96、LDL42、HDL40、nonHDL-C56と、コレステロールが低値です。
また、貧血(ヘモグロビン10.8、ヘマトクリット33.8、血小板数43.6)もあり、大腸がん便検査で陽性でした(過去に憩室炎の治療歴あり)。
食事は1日3食で、主食・主菜・副菜をバランスよく摂っています。
BMIは20.5です。
自覚症状としては皮膚のかゆみがあります。
毎年健康診断で引っかかりますが、病院では「体質」と言われ治療はなく、再検査のみです。
高コレステロールについての情報は多いものの、低コレステロールについての情報は少なく、身体へのデメリットや食事で気をつけるポイントを知りたいです。
また、サプリを使う場合はどのような栄養素が効果的かも教えてください。
詳しい情報を提示いただき、ご質問ありがとうございます。
このケースは 「低コレステロール血症」+「鉄欠乏性貧血」+「消化管出血の既往」 が重なっており、単なる「体質」では済まない可能性もあると思いました。
自覚症状としては、皮膚の痒みが1番の主訴ですね。
少し詳しく解説もしていきます。
1.低コレステロールの意味とリスク
総コレステロール96、LDL 42、HDL 40 は、いずれもかなり低い値です。
LDL(悪玉)だけでなくHDL(善玉)も低い場合は、「合成量自体が少ない」ことが示唆されます。
要因としては
栄養不足型:
- 脂質やたんぱく質の摂取量が少ない
- 極端なダイエットや低脂肪食を続けている
- 慢性的な炎症や感染で栄養消耗がある
吸収障害型:
- 胆汁や膵液の分泌が少なく、脂質を吸収できない
- 小腸の粘膜障害(セリアック様変化など)
肝臓合成低下型:
- 肝炎や肝硬変などで、コレステロールを作る力が落ちている
慢性疾患型:
- がん、甲状腺機能亢進症、慢性感染などで代謝が亢進している
遺伝体質型(まれ):
- 先天的にコレステロール合成や輸送に関わる遺伝子が弱い
などが考えられます。
いくつかの要因が複合している可能性もありますね。
つまり、「体で作れない・吸収できない・使われすぎる」 のいずれかが主なパターンです。
📍低コレステロールのデメリット
- ステロイドホルモン(コルチゾール、性ホルモン)合成低下
→ 疲労感、無月経、PMS悪化など - 胆汁酸合成低下
→ 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収不良 - 細胞膜の脆弱化
→ 皮膚の乾燥・かゆみ、脳神経機能低下(集中力・気分変動) - 免疫力低下
→ 感染を起こしやすい
などです。
血とコレステロール低値の関連もあります。
いただいた情報から
→ 鉄欠乏性貧血の傾向が強いですが、血小板が高めなのも鉄欠乏を裏付けます。
また、大腸憩室炎や便潜血陽性の既往があるため、慢性的な消化管からの微小出血 により鉄が失われている可能性があります。
鉄欠乏状態では肝臓での脂質合成も低下し、鉄欠乏 → コレステロール合成低下 → さらに低値が進行
という悪循環に入りやすいです。
そんな背景があるため、是非とも、栄養療法専門医を受診して、ドクターからのアドバイスをもとに改善を図ってほしいところです。
食事での改善ポイント
低コレステロール血症は「油を増やす」よりも、まず合成基盤(たんぱく質+鉄+亜鉛+ビタミンB群)を整えることが先です。
お食事でのタンパク質摂取を増やして、鉄や亜鉛、ビタミンB群、ビタミンD、ビタミンA、グルタミンなどのサプリメントをしっかり入れたいところです。
皮膚の痒みに関しては、コレステロール・脂溶性ビタミン不足による皮膚バリア低下が考えられて、鉄・亜鉛欠乏による皮膚再生遅延、胆汁分泌低下による体内毒素排泄の停滞の可能性があります。
→ まずは 鉄・たんぱく・脂溶性ビタミンの補充 がお食事とサプリメントでの第一選択となります。
また、カロリーの維持や血糖コントロールが安定していないと、コレステロール合成力が上がりません。
動物性タンパク質を増やして、しっかり入れるようにしたいです。
朝ごはんでのタンパク質を意識すると良いです。
実践していくと、また疑問やうまくいかない壁にぶつかるかもしれません。
その時は、またどうぞお気軽にご相談くださいね。
このようにコレステロール低値の方、他にも大勢いらっしゃっると思います。
通常の健康診断などの血液検査では問題なしとされる事が多いですが、栄養療法の視点から見ると低すぎるのもデメリットが色々あります。
とても良いご質問をいただき、他のメンバーの皆様の参考にもなったと思いますし、私自身も改めて学び直しました。
ありがとうございます。
頑張って、栄養の力を味方につけて、より生活のクオリティを引き上げて下さいね。
